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環境関連情報

有害物質規制最前線#5

REACH規則の動向#2

情報発信日:2005-12-20

欧州新化学品規制(REACH)案、欧州議会第一読会で可決

欧州委員会は「REACH法案が11月17日欧州議会の第一読会で可決されたことを歓迎する。12月中に政治的な合意がみられ、これにより健康と環境のよいバランスが保たれるでしょう」と発表、続いてスケジュールどおり「12月13日に開催された臨時競争担当閣僚会議において基本合意がなされた」と発表しました。

REACH規則(案)についてはEU域内でも、産業界への負担が過大になり競争力が低下するのではとの懸念や、EU域外の企業にとっては非関税障壁になる可能性があるとの批判があり、種々の利害関係者(国)を巻き込んでの議論が繰り広げられてきましたが、議会本会議・第一読会(※)で今回の可決に至ったものです。

※三読会制:法案を慎重に審議するための制度で、第一読会にて法案の全体審議、第二読会で法案の逐条審議、第三読会で再度全体を審議し可否を問う制度。
※REACH:Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals. 関連情報:EUの新たな化学品規制の動向

可決までの経緯、背景

REACH規則は全世界で生産されているとされる10万種類の化学物質のうち、年間1トン以上の生産がなされている約3万種類の化学物質を対象に、これを使用する事業者に対して評価や登録を義務づけるものですが、事業者(とくに中小事業者)にとって過大な負担になる可能性があるために、2003年10月の欧州委員会へ提案された後にEU域内の産業界、NGO、労働団体及び域内外の各国政府をも巻き込んだ激しい議論やロビー活動が行なわれてきました。

しかしながら、今回の採決では賛成398、反対143、棄権36で可決に至りました。これにより2006年末から2007年初頭に予想される最終採択により、REACH法案は「規則」であるためWEEE/RoHSやELVなどの「指令」とは異なり、REACH規則自体がEU共通の法律として適用されることになりますので、加盟国の事情などによる「待った」はできない状態になります。

※EUの法体系はその拘束力の強弱により5つに区分されます。「指令(Directive)」は官報に掲載後3年以内にEU加盟各国に自国の国内法を新設または改廃することを求めるものですが、「規則(Regulation)」は5つのうち最も拘束力が強く、加盟国に直接適用され、各国の国内法と同一の拘束力をもちます。
※関連情報:EUの組織と法体系

今回の可決案概要(主要修正部分のみ記載)

【登録】

REACH原案では、EU域内で年間1トン以上の化学物質を製造する場合または輸入する場合には登録を行う義務を課すことになっていますが、今回可決された修正案では「ターゲットアプローチ」という制度が設けられています。これは年間1~10トンの少量生産物質を登録する際に必要とされるデータについて規定されるもので、既存の化学物質につては「事業者が知りうるかぎりの情報」の提供を求め、必要に応じては追加データを求めるものです。また、新規物質については極めて有害性が高い物質についてはフルセットの安全性データの提供が求められます。ただし、イギリスなどが主張していた「1物質1登録制度」も特別な場合を除いて導入される模様で、提供データはできるかぎり共有する方向になる可能性が高いと思われます。

REACH規則が導入された場合に最も大きな影響を受ける可能性があるのは、安全性データ取得費用に比べて生産量の少ない物質(年間生産量1~10トン)であると思われます。

【認可】

有害性が極めて高い物質の使用には認可が必要で、代替品がない場合だけ認可されます。修正案では代替品の開発を促す観点から認可期間は5年ごとの更新制となっており、産業界にとって厳しい内容と思われます(閣僚会議では多少融通性をもたせて修正が行われた模様ですが、現時点での詳細はつかめておりません)。

【成形品に含まれる化学物質の登録について】

原案では、年間1トンを超える量で形成品に含まれるあらゆる化学物質について、通常及び合理的に予見できる条件による使用と廃棄において、人の健康または環境に悪影響を及ぼすような方法で排出される場合(意図的な排出)、当該物質の登録が求められます。修正案では、意図しない物質の排出の場合に届け出を求めるスキーム案を変更し、当該リストに掲載されている、有害性が高く環境・健康への悪影響が強く憂慮される物質が含まれている場合に届け出を求めるスキーム案とされています。

【中小企業への配慮】

ヘルプデスクの設置やガイダンス文書の作成などにより、規制順守に向けた支援を実施します。

【欧州科学庁の新設】

化学物質に関して提出されるデータの評価にあたって、新規に創設される「欧州化学庁」の権限を強化します。

今後の見通し

スケジュールどおり、競争担当閣僚会議にて政治的な基本合意がなされましたので、その後の手順としては欧州委員会が欧州議会、理事会での議論による修正案を提案し、第二読会の審議に入ると予想されます。したがって、今後の進捗にもよりますが、順調に進むとすると早ければ2006年末あるいは2007年初頭にも最終採決にもち込まれるものと予想されます。

引用・出典

注意

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