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環境関連情報

有害物質規制最前線#4

EUでのRoHS指令以外の化学物質管理

情報発信日:2005-12-20

EUにおけるRoHS指令、ELV指令以外の化学物質規制関連法

日本では、EUにおける有害物質規制として、電気電子機器を対象とした「RoHS指令」や自動車を対象とした「ELV指令」のみがクローズアップされ、その対応に話題が集中しているように見受けられます。しかしこれらの指令は突如浮上したわけではなく、現在検討がなされているREACH規則の動きなどとも関連させ、EUの有害物質規制全体の流れを把握したうえで対応する必要があると思われますので、この辺を明確にしたいと思います。

RoHS指令に関連する4つの重要な法規制

67/548/EEC「化学物質の分類と表示に関する指令」

現在世界には天然及び人工の化学物質が約10万種類あるといわれていますが、これらの物質にはさまざまな物性があり、動植物に対するさまざまな影響があります。これらの化学物質の分類と表示に関する指令が1967年に出された67/548/EEC指令です。10万種類に及ぶ化学物質の内、年間1トン以上使用されている化学物質は3万種類といわれ、現在この3万種類の化学物質に対して「急性毒性だけでなく、発癌性、変異原性、生殖毒性などまで含めて見直しを図ろう」という検討が行われており、REACH規則とよばれています。67/548/EEC指令はRoHS指令、ELV指令の原点になっていますので、これがREACH規則によって見直しが行われますと、RoHS指令、ELV指令の内容が大幅に変更される可能性が出てきます。

76/769/EEC「危険な物質及び調剤の上市と使用の制限に関する指令」

67/548/EEC指令によるデータを基に1976年に出されたのが76/769/EEC指令です。この指令では、たとえばプラスチックや塗料に含有されるカドミウムは100ppm以下、PBD、PBDEは1000ppm以下などと規定されております。すなわち、EU圏内に輸出さる製品におけるプラスチック部品や塗料などは、電気電子製品や自動車でなくてもすべてに適用されるということですので注意が必要です。この指令はたびたび改訂され品目が追加されていますので、改訂版すべてを見る必要がありますが、67/548/EEC及び76/769/EECとRoHS指令は数値的には整合性がとられているようです。

94/62/EC「包装材料に含有する重金属に関する指令」

1994年に出された94/62/ECによる「製品の包装材料に含有される重金属」は、鉛、カドミウム、水銀、六価クロムなど総量で100ppm以下と規定されています。この法規も製品の市場分野や用途に制限はなく、すべての製品に適用されますので注意が必要です。また米国においても同様の規制が存在しています。

2001/59/EC「CMRs指令」

2001年には発癌性、変異原性、生殖毒性のあるとされる43種類の化学物質が指定され使用が制限されています。

RoHS指令とELV指令の位置づけ

RoHS指令やELV指令は以上のような背景のなかで、電気電子製品や自動車に多く使われそうな有害物質の規制に関して改めて明確にしたに過ぎないともいえます。

「RoHS指令って、EUにおける電気電子機器の話でしょう? 何で皆がそんなに大騒ぎするのかわからない」という意見がありますが、RoHS指令やELV指令が生まれた背景を知ることによって、この動きは種々産業へやがて波及してくると予想される課題であること、及び、電気電子機器産業で「有害」として名指しされた物質を「他の産業では法に触れないから使っていてもかまわない」という論理はCSR(企業の社会的責任)からも、いつまでも許されないであろうことは容易に想像されると思います。

世界中のさまざまな化学物質使用規制とグリーン調達ガイドライン

化学物質規制にはさまざまな観点から種々の法規制があります。日本国内の法規制だけを見ても、「人体の健康への影響」という観点からすると、「農薬取締り法」「毒物及び劇物取締法」「労働安全衛生法」「化学物質の審査及び製造等に関する法律(化審法)」「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の促進に関する法律(化管法またはPRTR法)」「ダイオキシン類対策特別処置法」があります。「循環型社会の形成」という観点からは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」など、「火災、爆発などの危険」という観点からは、「危険物取締法」「消防法」などがあります。また、産業別にも「薬事法」「食品衛生法」「水道法」など多くの法規制があります。世界中に存在する化学物質の規制をすべて見逃さずに対応することは極めて困難な状況であることが想定されます。

このような状況においてグリーン調達調査共通会協議会が作成した「グリーン調達ガイドライン」は、自主基準ながら世界の主要な製品含有有害物質規制を網羅して作成されており、ここに記載されたリストA(原則使用禁止物質)及びリストB(管理または削減目標物質)について管理を推進してゆけば、当面は問題が起こらないと思われます。

しかし、目で見ても有害物質の混入有無は判別できないため化学分析を行う必要がありますが、個々の企業がすべての使用部品、材料に対して分析を行うのは経済的に大きなムダがあります。このような状況において考えられたのが「グリーン調達サプライチェーン」の考え方で、最上流の原材料メーカでの分析データを下流の加工・部品メーカ、最終的にセットメーカまで次々に伝えて行く方式です。イメージとしてはシンプルですが、実際問題として帳物を一致させて管理するには、ISO9001の手法と調達先との合意が必須になります。この仕組み作りのためには多くの労力と時間を必要としますので、各企業においてはできるだけ早期の取組みが重要になるものと思われます。

引用・出典

注意

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