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環境関連情報

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)含有表面処理液が製造中止へ

ストックホルム条約と化審法の間で

情報発信日:2009-08-26

(社)日本表面処理機材工業会発表

2009年6月26日付で(社)日本表面処理機材工業会は同PFOS調査委員会名にて「2009年末までにPFOS含有調剤の製造を中止し、在庫を無くす」旨の発表を行いました。

これは2009年5月に開催されたストックホルム条約(残留性有機汚染物質の規制に関する条約)においてPFOSが附属書B記載物質(原則使用が制限され、一部の認められた用途のみ使用可)となったことを受けて、経済産業省、環境省、厚生労働省3省の合同会議体においてPFOSを化審法の第1種指定化学物質にすることが適当との判断を行ったことが一因と思われます。

3省合同会議体はPFOSについて代替品の使用が困難な半導体製造用のフォトレジストなど一部の用途には使用制約事項を遵守することでの使用を認める方針ですが、金属メッキ、航空機用作動油、消化液など代替品の可能性が有る場合については「適用除外にはするが輸入禁止」と言う実質的に使用がかなり難しくなる方針が示されたため、(社)日本表面処理機材工業会がPFOS含有表面処理調剤の製造中止を決めた模様です。

※詳細は下記「引用・参照情報」(1)、(2)の(社)日本表面処理機材工業会の発表資料にて、ご確認ください。

PFOS規制の理由

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)及びその塩類は分子構造にフッ素を多く含んだ化合物で、極めて安定な化学物質です。言い換えると自然界に一度放出されると、分解され難いため長く大気中や水中に留まり、また生物の体内に入り込むと蓄積して行く可能性が高い物質と言えます。

現在の化学物質の規制の傾向として、明らかな毒性が有る化学物質に対する規制は勿論ですが、毒性は低くても難分解性、生体蓄積性が高い化学物質は規制を強化する方向にあります。これは将来、該当する化学物質に何らかの大きな問題が有ることが判明した場合でも難分解性物質の場合には対応が非常に難しくなるためです。

例えば過去にはフロンやアスベストの問題が有ります。PFOSは過去の動物実験の結果からは比較的毒性の低い物質とされており、アメリカ合衆国の環境保護局(USRPA)の調査でも「PFOSの無毒性量(NOAEL)は0.1 mg/kg体重、最小毒性量(LOAEL)は0.4 mg/kg体重」とされてはいますが、最近「ペルオキシゾーム(全ての真核生物細胞に見られる、膜で囲まれた細胞内小器官で脂肪酸のβ酸化やリン脂質の生合成など多くの重要な働きをしている。)」の増殖作用が有り、これにより「活性酸素の生成、発ガン作用、コレステロール代謝の攪乱など」の影響が現れるとの報告が有ります。また、生体内で胆汁と誤認され、薬物の代謝などにみられる腸肝循環を起こしていると言われています。

以上の毒性についてはまだはっきりした結論は出ていない様ですが、将来を見通した上での使用制限処置となったと思われます。(社)日本表面処理機材工業会では代替品が準備出来たことを製造中止の理由の一つに上げていますが、同工業会が発表と同時に示した製造中止品目リストを見ると「代替品あり」と並んで「廃品」の文字も見受けられます。

PFOS含有表面処理剤

PFOSは少量で高い性能を発揮するある種の「持続性が高い界面活性剤」として位置づけられ、半導体用のフォトレジスト、化合物半導体用エッチング剤、業務用写真フィルム、泡消化剤、航空機用作動油、防止用処理剤、金属や半導体のエッチング剤(電解研磨を含む)、工業用金属メッキ液、半導体用反射防止剤、工業用研磨剤、防蟻剤、印画紙などに多くの用途に使用されていますが、添加量が微量で有るため、ユーザーに使用意識が無く使われている場合が大半の様です。

さて、具体的に「PFOS含有表面処理剤の製造が中止」となった場合の懸念について述べます。PFOSは前述した様に優れた界面活性剤で、複数の化学物質を混合した場合にその分散性や混合性を高める役目を果たすものと思われます。金属表面処理剤とは具体的にはニッケルメッキやクロムメッキを行う際のメッキ液を指し、この中にPFOSが添加されています。例えば、クロムメッキ用のミスト防止剤、銅エッチング添加剤、銅メッキ用前処理剤、PTFE粉末を分散したEN複合メッキ液、電気ニッケル複合PTFEの分散剤、クロムメッキ液、化学研磨液、電解研磨液、コンポジットメッキ液、メッキ前処理または後処理液、水切り剤、無電解銅メッキ液、クロメート仕上げ剤など多くの表面処理剤に含有されています。

(社)日本表面処理機材工業会では代替品が準備出来たとしていますが、表面処理は種々の目的で実施されますので、例えばメッキの場合、代替品で光沢や耐久性が十分か否かは自社の目的と照らして検証を行う必要が有ると思います。またリストに有ります様に「廃品」になる調剤も有りますので、早急に確認をされた方が良いと思われます。

引用・参照情報

注意

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